土地家屋調査士業務を効率化! Pix4D製品の活用により作業時間約75%以上削減
土地家屋調査士は、国家資格を有し、不動産登記に必要な土地や建物の測量、調査、図面作成を行う専門家です。法務局に提出する書類の作成や手続きの代理も行います。平成20年5月に開業以降、長野県にて土地家屋調査士業務を行っている土地家屋調査士法人久保事務所では、業務においてPIX4Dcatch とPIX4Dmatic を使用しています。この度は土地家屋調査士法人久保事務所の久保智則様に、業務においてどのようにPix4D製品を活用されているのか、お伺いしました。
土地家屋調査士法人久保事務所では、不動産事業者から土地・建物を売買する上で必要な土地の実測、建物の調査を行う業務の他、ハウスメーカーとタイアップし建物新築計画のための現況測量や境界確認を主な業務として行い、その中で必要な土地・建物の各種登記を実施されています。
PIX4Dcatchの活用
そのような業務を行われる中で、土地家屋調査士法人久保事務所では、3DスキャンをiPhone等のモバイル端末で行うことを可能とするアプリケーション「PIX4Dcatch」と対応するRTK ローバーを、①境界確認をする前提に現場を把握するための事前調査(現況把握)や②ハウスメーカーとの共同業務において現地調査・現況測量に活用しています。
1. 境界確認を前提とした、現場を把握するための事前調査(現況把握)
境界測量や確認を行う際には、事前の調査が必要です。土地家屋調査士法人久保事務所では、この調査において、PIX4Dcatchアプリを起動したモバイル端末とRTK ローバーを組み合わせ、現場を3Dスキャンしてデータを取得しています。モバイル3D計測を導入する以前は、トータルステーションのみを用いて作業を行っており、300~400平米の土地面積の現況把握に約2時間を要していました。しかし現在では、作業時間が20分程度となり、従来の1/4から1/5程に短縮されています。
土地全体をPIX4Dcatchにてスキャ ンしたのち、特定のポイントのみをトータルステーションで計測し、データの信頼度を更に向上させているとのことですが、トータルステーションを使用した作業を含んでも前記の時間短縮が実現しています。一筆地測量などドローン測量を行うほどではない範囲においては、特に手持ちのモバイル端末のみで完結するPIX4Dcatchを使用した作業が適しているようです。
2. ハウスメーカーとの共同業務において現地調査・現況測量
ハウスメーカーが住宅を建築する前に敷地を把握する作業では、多くの場合、すでに境界線の測量が完了している確定測量済みの現場で、現地にも境界標が設置されているため、必要な数字情報は揃っています。高精度な測量を1から行う必要はなく、過去に取得されている現場のデータと座標等の比較を行うなど現況を把握することが主な業務となります。
そのよう な現場では、PIX4Dcatchを使用し、1人で測量し作業を完結することが可能になり、労働力・業務の負荷が軽減されました。また、PIX4Dcatchを使用することで、高低差なども計測可能なため、擁壁の高さ等も把握することができハウスメーカーとの共同業務において必要なデータが図れることも役立っています。
PIX4Dmaticの活用
土地家屋調査士法人久保事務所では、3Dスキャン(PIX4Dcatch)にて取得してきたデータを、画像から高品質な2D/3Dモデルをスピーディに生成するデスクトップ用ソフトウェア「PIX4Dmatic」等にて処理し、平面図を作成しています。かつてはミラーを立てて1点1点落として結合し図面作成を行っていましたが、現在は現場でスキャンして取得したデータを基に、事務所のパソコン上で点群データにて確認して作業ができるようになったため、現場での作業時間短縮や図面作成の手 間の軽減に繋がっているとのことです。
Pix4D製品を選んだ理由
久保様は、今回Pix4D製品の導入を決めた理由として、次のようなことをあげています。操作の簡便さ、コストパフォーマンスの高さ、位置情報を活用した世界測地系での計測が可能であること、また画像データとLiDARデータを組み合わせることで高密度点群が生成される点です。Pix4Dソフトは点群密度が高く見やすく、CADソフトでのトレース作業を容易にしているとのことです。
土地家屋調査士の業務におけるPix4D製品の活用
従来、土地家屋調査士の現場作業ではトータルステーションを使用し、複雑な地形ではトラバース点をいくつも設置する必要がありました。特に、機械の設置が困難な場所では作業が一層複雑になることもありました。しかし、Pix4Dcatchの導入により、モバイル端末+RTK ローバーを片手に歩くだけでおおまかな現況を効率的に取得できるようになり、大幅な時間短縮が実現しています。RTKローバーを併用すれば、現況測量を一人で完結させることも可能です。現況を迅速かつ高精度で記録することができるPIX4Dcatchや、現場で取得したデータから平面図を作成することに役立つPIX4Dmaticは、土地家屋調査士の業務効率化における新たな選択肢として大きな可能性をもたらします。
**本取材にはPix4D代理店である株式会社イメージワン様にご協力いただきました。