作業時間を約50%削減!モバイル3D計測で土地家屋調査士業務を効率化
株式会社柳土木設計事務所・柳土地家屋調査士法人は、ドローン測量を国内でいち早く取り入れるなど、新しい技術を積極的に採用し、精度と生産性の向上を目指している土木設計および登記業務を行う事務所です。同社では、以前からPix4Dのソフトウェアを活用されていますが、近年では土地家屋調査士業務においてモバイル3D計測「PIX4Dcatch」とRTKローバーを導入されております。この度、代表取締役の柳 和樹様に業務での具体的な活用方法についてお話を伺いしました。
柳土地家屋調査士法人では、主にハウスメーカーや不動産会社などからの依頼を受け、敷地境界確定業務を行っています。この業務では、広大な土地から小規模な 敷地まで、さまざまな面積や条件に応じた柔軟な測量が求められます。同社では、測量対象の面積や目的に応じて、ドローンやPIX4Dcatch(RTKローバー使用)などの機器を使い分けています。
土地家屋調査士業務におけるPIX4DcatchとRTKローバーの活用
同社においてPIX4Dcatchを使用している主な業務は、小規模な土地の測量や、GNSS単点観測による基準点測量(民間案件においてGNSS機器の代わりに使用)がメインです。また、現場確認用のデータ取得にも活用されています。
1. 小規模な土地の測量(300㎡以下)
面積の大きさにより使用機器を使い分けており、広大な場合はドローン測量を、小規模な場合はPIX4Dcatchを使用しています。また、広い面積でも詳細データが必要な場合は、ドローンとPIX4Dcatchによるスキャンデータを統合しています。300㎡程度の土地であれば、PIX4Dcatchのみで測量を完結できると柳様は実感されています。300㎡程の土地の測量を実際に行った際は、作業時間は15分程度で、スキャンで取得されていた画像データは約530枚でした。
2. GNSS単点観測による基準点測量
GNSS単点観測では、RTKローバーの下にカメラの一脚を取り付け、15秒の観測で迅速に座標を取得し、基準点として使用しています。その後、PIX4Dcatchでスキャンを行います。この操作は非常に簡単で迅速であり、現場作業の効率を大幅に向上させています。
事例:建物の解体現場で短時間でGNSS単点観測で座標系スキャンを行った事例です。
3. 現場確認や相談資料の効率化
お客様からの依頼を受けた際の現場確認や役所への相談資料作成にも、PIX4Dcatchが活用されています。現場確認や簡易的な測量では、相談を受けた当日に現場に立ち寄り、PIX4Dcatchで現場の3Dスキャンを行うことで即日で作業が完了します。短時間で現場の3Dスキャンを行い、帰社時の移動時間中にクラウド上(PIX4Dcloud)にアップロードすることで、事務所に戻った際には現場のデジタルデータが完成しており、計測等を行うことができます。 同社では、そのデジタルデータ(3Dデータ)を役所への相談資料としても使用しており、従来必要だった図面作成の手間を削減できているそうです。また、クラウドのリンクを共有することで、デジタルデータをお客様に共有でき、説明も視覚的に行えるようになりました。
事例:こちらは実際に、お客様のご相談を受けて即日で現場をスキャンし、役所へ相談するために使用したデジタルデータです。
従来の作業と比較した効率
従来の測量作業では、トータルステーションを使用し、構造物の角や特徴点を1点ずつ観測してスケッチに記録する方法が一般的でした。この方法では記録が曖昧になるリスクや、測りきれない部分が発生する可能性がありました。しかし、PIX4Dcatchを使用することで、土地全体を包括的にスキャンし、現場を再現したデジタルデータを生成することで、取りこぼしのないデータ取得が可能となりました。
たとえば、従来トータルステーションで1日400–500点しか計測できなかったところを、PIX4Dcatchでは即座に1,000万–2,000万点のデータを取得可能です。また、構造物の形状等も分かりやすい、色付きの3Dデータが生成されるため、情報量が飛躍的に増加し、見落としのない細かい計測が可能となりました。
PIX4Dcatchの優位性
PIX4Dcatchを導入されるにあたり、柳様は他社製品とも比較をされ、他社のモバイル3D計測製品がLiDAR技術のみの中、本製品がLiDARに加えフォトグラメトリー(写真測量・SfM)を使用していたことが大きな決めてだったそうです。LiDARだけでは、図化する際に点が少ない一方、フォトグラメトリーも利用している場合、密度の高い点群が作られ、図化しやすいとのこと。また、キレイな色の点群が作成されることや、GNSS単点観測が行えることが大きなメリットと感じられているようです。
本取材から見るPIX4Dcatchのメリット:
- LiDARとフォトグラメトリー技術の併用: 高密度で鮮やかな点群が生成でき、点の数が多いため図化が容易。
- GNSS単点観測の実現: 高精度な基準点測量が可能。
- 3Dスキャンによる詳細なデータ取得: ・構造物の形状等も把握できる、現場の色付きの3Dデジタルデータを記録可能。 ・即座に1,000万~2,000万点のデータを取得可能。取りこぼしのないデータ取得。
- 作業効率の向上: 従来比で業務時間を約50%短縮。1名で完結可能。
- 現場データの即時活用: データを即座にクラウドへアップロードし、説明資料に活用可能。
- 操作性: スマートフォンやタブレットを活用するため、初心者でも始めやすい。
PIX4Dcatchでスキャンし生成された色彩が鮮やかで、密度の高い点群。
土地家屋調査士の皆様へのおすすめポイント
柳様は、3D測量をこれから始める方にPIX4Dcatchを推奨されています。ドローン測量や地上レーザースキャナーと比較して、導入コストが抑えられ、スマートフォンやタブレットを利用するため、技術的にも簡単に始められる点が魅力です。また、最初のステップとしてクラウドベースのPIX4Dcloudを活用することで、現場でスキャンしたデータを簡単にデジタル化できるため、3D測量の利便性を実感いただけます。
**本取材にはPix4D代理店である株式会社イメージワン様にご協力いただきました。