PIX4Dfieldsは農業支援サービスをどう変えるか
Pix4Dは、北海道深川市での土地の均平化プロジェクトと並行して、北海道幕別町の農家さんともPIX4Dfieldsを使ったプロジェクトを実施しています。
このプロジェクトでは、地元のノーザンイノベーション社の六日市さん・小森さんがドローン飛行とPIX4Dfieldsによる画像処理を行っています。その結果を見て農家さんへのアドバイスを行うのは、明京商事で30年以上も日本全国で栽培指導を行ってきた金峯さんです。今回は、このお二人に PIX4Dfieldsを使った農業支援についてインタビューをしました。
プロジェクト詳細
場所 | 幕別町中里、日本 |
ユーザー | ノーザンイノベーション株式会社 |
ソフトウエア | PIX4Dfields |
撮影面積 | 5.12 ヘクタール |
ハードウェア | DJI Phantom 4 Multispectral |
作物 | 小麦 |
PIX4Dfieldsで生育のムラを可視化して栽培指導を効率化
最初はドローンの空撮画像で何ができるのか半信半疑だったという金峯さん。 実際に使ってみると、広い圃場の中の生育分布がかなりの精度でマッピングされていて驚いたとのこと。
「栽培アドバイザーをしていて悩ましいのは、限られた時間の中でお客様の圃場全体の状況を全て把握して生育状況を確認できないことです。従来は、一部の生育状態を確認して、そこから全体の状況を推察して栽培指導をしていました。しかし、PIX4Dfieldsを使うと広い圃場の生育分布がマップで示されるので、どこの作物を調べればよいのかが簡単に分かります。」
圃場では、マルチスペクトルセンサーのついたDJI Phantom 4 Multispectralを使ってデータ収集を行っていました。 マルチスペクトルセンサーとは、カメラがマルチスペクトルデータを拾って、人間の目には見えない光を拾うことができるということです。これを使って、植物が反射する特定の色の光を検出し、作物全体の健康状態を分析します。マルチスペクトルデータを色分けされた植物の健康マップに変換する 「植生指標」と呼ばれる方法のおかげで、この分析が可能になります。今回のプロジェクトでは、その中でもNDVIという指標に注目しました。
「今回のプロジェクトでは、圃場を生育状況に応じて色分けしました。育ちが悪いエリアほど青色に近く、育ちが良いところほど赤色に近くなります。実際に稲を確認すると、青色の部分とオレンジ色のところで稲の高さが約5cmも違いました。」と金峯さん。
農業における肥料散布のガイドとして、マルチスペクトル画像はどのように利用できるのか?
「さらに、今回のプロジェクトでは、小麦の茎の数と表示されるNDVI値の関連も見られました。圃場を成長の度合いに合わせて3つのエリアに分割して分析をしたところ、NDVI値が高いエリアほど、茎数が多いことが分かりました。茎の密度が低いと生産量が減ってしまいますが、密度が高すぎても重さで小麦が倒れてしまうことがあります。そのため、PIX4Dfieldsを使うことで茎の密度に応じた栽培指導がしやすくなりそうです。」
圃場全体を生育状況に合わせて3エリアに分割し、施肥を行ったという。 左からエリア1、2、3。
「実際に各エリアの成長ステージに合わせて肥料の量を調節したところ、2か月後には圃場全体の生育ムラが少なくなりました。
「施肥後はムラが少なくなり、より圃場全体の生育状況が均一に近づいた。」