PIX4Dfields農業実証プロジェクト:第一弾 圃場の均平化にドローンを活用!
Pix4Dと 明京商事は、2022年4月から農業関係者を対象とする合同実証実験(POC)プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、高度な農業マッピングソフトウェアのPIX4Dfieldsを使用して、農家さんの栽培管理をサポートすることを目的としています。
明京商事はノルウェーのYara社を主軸に肥料の輸入販売を行っており、肥料価格の高騰化が進む中でPIX4Dfieldsとの組み合わせにより肥料効率を最大化すべく、本プロジェクトを共同で立ち上げました。
ドローン活用で農業をより効率的に
本プロジェクトには農業従事者の方として、北海道深川市の多度志で水稲と花き栽培をしている複合経営、農業法人ユナイテッドの方にご参加いただきます。
理事を務める中 西さんは、農業界の後継者不足に対応するために、後の世代が効率的に農作業が進められるよう最新技術を積極的に取り入れてきました。農作業を効率化するには「その土地を知る」ということが不可欠とのこと。
今回も、それぞれの圃場の特性を後世にも残るデータ化ができるという点に意義を感じ、プロジェクトに応募いただきました。
農業法人ユナイテッドでは、40haの水稲を始めとし、花き、そば、小麦を生産しています。特に水稲においては資材や労力を含め、コスト削減が見込める「密苗」栽培を今年から始めて導入しています。密苗の効果と結果を多角的に分析するためにも、PIX4Dfieldsの活用に期待していただいています。
さらに、本プロジェクトのドローン操縦者として、スカイロボットサテライトオフィス&DJIドローンパ イロットの高橋さんにも参画いただきました。高橋さんは多度志でドローンを使ったリモートセンシング事業を展開しており、今後ドローンを活用したビジネスのさらなる拡大を検討する中で、本プロジェクトにも興味を持っていただきました。
この記事では、本プロジェクトの一回目の実証、【PIX4Dfieldsで圃場の高低差を確認することができるのか?】の結果をご紹介します。
プロジェクト詳細
場所 | 北海道 深川市 多度志 |
使用ハードウェア | DJI Phantom 4 Multispectral |
使用ソフトウェア | PIX4Dfields |
撮影枚数 | 北部分:434枚 南部分:141枚 |
撮影面積 | 北部分:14.5 ha 南部分:7.1 ha |
処理オプション | 高精度処理 |
使用PCスペック | Intel Core i7-8750 CPU @2.20 GHz, 16GB RAM |
本プロジェクトの意義
水稲の収量や品質を安定化させるために圃場の均平化は欠かせません。 高低差の大きい圃場で栽培を行うと、高いところは除草剤効果が低下し雑草発生リスクが高まります。さらに、低いところは生育が遅れたり完全に水没すると腐ってしまうリスクもあります。 現在、レーザーレベラー搭載機械を圃場全体にかけることで均一化する方法が一般的ですが、作業の委託料が高額という課題があります。 圃場の高低差のある箇所をピンポイントに見つけることができれば、効率的な代掻き作業や外部委託の均平作業時間が軽減でき、整地コストを減らせる可能性があります。 このような背景から、今回は「ドローンで圃場の高低差を空から見つけることはできるのか?」というテーマで実証をしてみました。
圃場の高低差を空から見つけ出す
PIX4Dfieldsを通じて撮影した圃場の高低差情報がこちらです。 このように圃場の中の高低差の分布をマップ上に可視化することができました。
ユナイテッドに所属するベテラン農家さんたちにも結果をご確認いただきましたが、PIX4Dfieldsが表示している高低差の分布は皆さんの認識とも合致しているとのことでした。 これを見れば、どの部分の土をどこに持っていけばよいかが分かりやすいため整地作業がしやすくなりそう!と言っていただきました。
また、若手の農家さんからも「ベテランの人が長年の感覚で培ってきたことをデータで客観的に見える化してもらえるのはありがたい。今後新規採用社員を雇うときの情報共有も楽にできそう」とのことです。
今回の実証で撮影した圃場面積は9.5haでしたが、高低差が大きい部分は3.3haでした。 仮にこの圃場に整地作業を実施すると、作業コストを約35%減らすことができそうです。
中西さんによれば、実際の均一化作業だけでなく、レーザーレベラー搭載機械を使う作業時間短縮ができるかもしれないとのことです。一般的に機械で圃場を均一化する際は、先にレーザー付きの作業機を圃場に走らせて、土地の高低差を確認します。そして、土を動かす方向を決めてから実際の均平化作業を行います。この作業にもかなりの時間がかかるため、ドローンとPIX4Dfieldsで事¥前にどこにどのくらい土を効率的に動かすべきか把握することができれば、レベラーの作業時間をさらに減らすことができそうと期待を寄せていただきました。
まとめ
今回のプロジェクトでは、ドローンとPIX4Dfieldsを使って圃場の高低差の分布を見える化することができました。高額なブルドーザーを使った整地作業の労力やコストの削減につながるという意味で、今回の成果は大きな意味を持っていると感じています。 多度志の農家さんとは、引き続きプロジェクトの第二弾として、ドローンを使って作物の生育状況を把握する実験を行う予定です。 ドローンで肥料効率を向上できるのか!?お楽しみに!