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LiDARとは?フォトグラメトリー(SfM) との違いとは?

LiDARはフォトグラメトリーと競合する技術ですが、フォトグラメトリーを補完するためにも使用できます。

ポップカルチャーの世界では、レーザーは惑星を壊すような破壊的なビームとして描かれていますが、実用的な目的でも使われています。レーザーは、高い精度で距離を測定する手段でもあります。LiDARもその1つで、最近ではコンシューマー市場の製品に搭載されるケースが増えています。

画像から距離を測定するのがPix4Dのテクノロジーですが、そのワークフローにLiDARも組み込むことができます。ここでは、LiDARとフォトグラメトリーの違いと、LiDARとフォトグラメトリーを組み合わせた活用方法について説明します。



LiDARとは?

LiDARとは「Light Detection And Ranging(光による検知と測距)」の頭文字をとった言葉で、3Dレーザースキャンとも呼ばれます。

LiDARが最初に使用されたのは1960年代1のことでした。それ以来、レーザー光に基づいた距離測定に利用されています。対象のオブジェクトまたは空間にレーザー光を照射し、反射されたレーザー光がセンサーに捉えられるまでの時間を計測することで、距離を高精度に測定します。


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LiDARで得られる緻密な点群(画像提供:Daniel L. Lu)

3Dレーザースキャンは既にさまざま産業で導入されており、モバイル機器でのデータ収集から、航空機での地表面データ収集プロジェクトまで、幅広い用途に利用されています。レーザースキャンは距離を正確に測定できるため、空間、オブジェクト、ランドスケープをデジタル3Dデータとして再構築するには非常に効果的な手段です。その意味で、LiDARは現実世界をデジタル化するツールであり、フォトグラメトリーと競合する技術なのです。

LiDARでスキャンを実施すると、ジオリファレンスを持つ色のない3D点群が生成されます。この高密度の点群は非常に緻密であり、フォトグラメトリーでは認識が難しい電線やワイヤーなどの細いオブジェクトを記録することもあります。ただし、LiDARは実施するコストが大きくなりがちです。多くの場合、レーザースキャンを専門とする企業にデータ収集を委託する必要があります。

フォトグラメトリーとは?

フォトグラメトリーとは、画像を基にして測定を行うプロセスです。 オーバーラップする画像を多数撮影し、それを処理することで精密な空間モデルを生成します。主な用途は、調査とマッピングを目的とした現実世界のデジタルデータ作成です。

初期のフォトグラメトリーでは、上空からデータを収集するために見晴らしのよい高所から撮影したり、熱気球を飛ばしたりする必要がありました。現在では、ドローンを使用した調査データ収集と地上からの画像撮影を併用する手法が一般的になっています。フォトグラメトリーは、 犯罪捜査のためのマッピングから、精密農業での応用まで、幅広い分野でさまざまな用途に使用されています。

LiDARとフォトグラメトリーの違い

まず、フォトグラメトリーと比較したときのLiDARの大きな優位点の1つは、「こちらから光源を照射する」ことにあります。そのため、LiDARは天候の影響を受けません。フォトグラメトリーの場合、空が曇ったり、日照の状況が変化したりすると、上空から収集されるデータの質が大幅に低下します。

上空や地表から使用する3Dレーザースキャンは気象の変化に影響されませんが、ドローンや手持ちカメラを使用したフォトグラメトリーは、照度が低下すると多大な影響を受けます。

次に、LiDARでは植物の葉の隙間を通して測定できるため、緻密な3Dデータを作成できます。レーザーパルスは木の葉の隙間を通過するため、木の幹や木の下にある地面を直接測定できます。一方で、フォトグラメトリーは画像データに依存するため、表面に見えるものしか再構築できません。

フォトグラメトリーではデータ化が難しい植物が生い茂る部分や細いケーブルも、LiDARでは高精細に捉えられている。画像制作:Scandinavian Drone AB

ただし多くの場合、LiDARの実施には大きなコストがかかります。フォトグラメトリーは精度を幅広く調整でき、カメラも高価な業務用機材の代わりにコンシューマー向けのカメラを使用することができます。

さらに、フォトグラメトリーではカラー化した点群、テクスチャメッシュ、オルソモザイクなどさまざまなアウトプットが得られますが、LiDARで得られるのは点群のみです。

フォトグラメトリーとLiDARを併用する方法

フォトグラメトリーと同様の作業をLiDARでも行うことで、フォトグラメトリーのアウトプットを強化できます。この2つの手法を組み合わせて、空中から撮影したフォトグラメトリーデータでは捉えきれない細部を、特に地表からのLiDARのレーザースキャンによって補うことができます。 つまり、LiDARとフォトグラメトリーを組み合わせることで、それぞれの手法を単独で使用した場合には得られない詳細なデータをプロジェクトに加えることができます。

それを可能にするのが、新しいベクトル化ソフトウェアであるPix4Dsurveyです。 PIX4Dsurveyによって、フォトグラメトリーデータをCADで活用できるようになります。PIX4Dsurveyでは、フォトグラメトリーで得られた点群と、LiDARなど他のテクノロジーで得られた点群データをマージできます。

元画像と点群の両方を扱えるため、点、ポリライン、ポリゴン、カテナリーのベクトル化と抽出を従来よりも高精度かつ高速に実施できます。電線のような細いオブジェクトが含まれる複雑なプロジェクトの場合、LiDARを使用することで、フォトグラメトリーによるデータ収集では漏れてしまうデータを補うことができます。PIX4Dsurveyではフォトグラメトリーデータを地表でのレーザースキャンと組み合わせて使用できます。

IMA BLO CORP lidar-photogrammetry screenshot
PIX4DsurveyでLiDARデータとフォトグラメトリーデータを組み合わせて生成された点群

エリアをベクトル化してポリラインとポリゴンに分解し、形状を表す点を定義します。フォトグラメトリーとLiDARの大規模点群データを処理して得られたベクトルファイルは、そのままエンジニアリングに活用できます。

フォトグラメトリーとLiDARを併用した活用事例

LiDARとフォトグラメトリーの点群には数十億個の点が含まれ、巨大なファイルになりがちです。 従来、この巨大データを操作してシームレスに閲覧することは困難でしたが、PIX4Dsurveyによってその問題が解決され、ユーザーが数十億個の点を扱えるようになりました。

下の例ではドローンを使用して、スイスの鉄道の線路の空撮画像を収集しています。フォトグラメトリーを使用して生成された点群には周辺の細かな状況が多数反映されていますが、線路上の電線や、電線を支える支柱などが反映されていませんでした。

Point cloud of a railway track in Switzerland
フォトグラメトリーで収集されなかった細かな部分を LiDARデータ(緑色でオーバーレイ表示)で補足

LiDARデータにはそのような細かな物体が記録されるため、ドローン画像で漏れていたデータを補足できました。その結果、線路周辺のモデルが拡充され、さらに多くの情報が反映されました。

今後の展望

LiDAR搭載デバイスが普及しつつある中で、一般的なコンシューマー製品を精密な3Dモデリング用のデバイスとして使用できるようになり、多くの人がこのテクノロジーを利用できる環境が整ってきました。特に注目されるのがiPad Pro 2020とiPhone 12 Proで、Pix4Dcatchアプリもこの2つのデバイスに最適化されています。

PIX4Dcatchを使用した地表の3Dスキャンは、簡単なワークフローで実施できます。iOSモバイルデバイスを構えて歩きながら、対象エリアの画像を撮影するだけです。スキャン中にはリアルタイムで3Dメッシュが生成され、進行状況をライブで確認できます。PIX4DcatchによってGPSデータとIMUデータが記録されるため、PIX4Dmatic, PIX4Dmapperまたは, PIX4Dcloudを使用して正確な縮尺のジオリファレンス済み3Dアウトプットを生成できます。

一方、PIX4Dmaticでは、PIX4Dcatchで作成したLiDARとフォトグラメトリーの点群を同一プロジェクトで処理できるようになりました。このアップデートは、2021年のPIX4Dmatic 1.19で導入されました。その結果、PIX4Dmaticユーザーは、LiDAR点群、フォトグラメトリー点群、または融合点群のいずれかを選択して使用し、結果を最大限に活用することができます。

Pix4Dcatch srceenshot
Pix4Dcatchを使用し、手持ちデバイスで正確な3Dモデルを生成

LiDARがコンシューマー市場の製品に搭載されるようになると、3Dモデリングの分野に飛躍的な発展がもたらされます。3Dレーザースキャンのピンポイントの精度と、幅広い用途やアウトプットに使用できるフォトグラメトリーの柔軟性を組み合わせることは、測量・マッピング業界で進む最新のイノベーションの1つです。今後は、重要なデータをかつてないほど容易に、高精度で得られるようになるでしょう。


測量を新たなレベルへ
高精度、高精細のデータに

References

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