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モバイル3D計測アプリ「PIX4Dcatch」の新機能「体積計測」の精度とは?

PIX4Dcatchアプリには、現場で直接体積を測定できる「体積計測機能」が搭載されました。その精度を検証するため、実験を実施しました。

スマホ・タブレット用のアプリで高精度な3Dスキャンを実現する製品 「PIX4Dcatch」 には、この度新機能として 「体積計測機能」が追加されました。本機能を使用することで、現場で直接、物体の体積を簡単にスキャンして測定できます。数ステップの操作でわずか数分で体積を計算できるため、時間を大幅に節約し、即座にフィードバックを得ることができます。

従来、体積計測の精度においてデスクトップでのワークフローが標準とされていましたが、これには現場からオフィスに戻ってからデスクトップ上またはクラウド上でデータ処理や解析を行う時間を要しました。今回PIX4Dcatchに体積計算機能が追加搭載されることにより、現場のモバイル端末上で作業が完結するため作業プロセスが大幅に簡略化される他、デスクトップでの計測に近い高精度な結果を現場で即座に得られるようになりました。

精度を検証する実験

PIX4Dcatchの速さと便利さは既にご使用されているお客様にとってはご認識の通りですが、気になる体積計測機能の精度についてこちらの記事ではご説明いたします。この「体積計測機能」の精度を検証するため、以下のような建設現場で一般的な4つの物体(5〜40立方メートル)を対象に実験を行いました:

  • さまざまな素材からなる土砂山(ストックパイル)
  • 溝のような充填された体積
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ストックパイルは現場での体積測定においてよくあるケースです

各物体を10〜30回スキャンし、精度だけでなく測定の再現性も評価しました。この実験には、PIX4Dcatch、iPhone 15 Pro、そしてRTKローバーを使用しました。RTK信号が安定している場合、オートタグやスケール制約を追加する必要はありませんが、RTK信号が不安定な場合、オートタグを使うことで結果を改善できます。

精度検証のプロセス

各対象物のスキャンは、物体の表面全体をカバーするために複数回の円軌道(オービット)を描く操作を行うことで実施しました。小さい物体であれば1回のパスで全体をカバーできますが、大きな物体でカメラフレームに収まりきらない場合には、複数回のパスが必要となります。すべてのケースでRTKが使用されました。

基準となる正確な体積測定結果を得るため、信頼性の高い独立した方法を用いて測定を行いました。直接計算が可能な場合は、精密な物理的距離測定に基づいた幾何学的な計算を用いて体積を算出しました。

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GCP が精度を高めるために役立ちます

直接計算が難しい場合には、代替手法としてデスクトップ・フォトグラメトリーのフル機能ワークフローを使用しました。この手法では、現場で撮影した画像をデスクトップ用ソフトウェア「PIX4Dmatic」 で処理し、フォトグラメトリーのデジタルモデル上で独立したアルゴリズムを用いて体積を算出しました。

このプロセス全体において、精度を最大化するために細心の注意を払いました。必要に応じて手動でタイポイント(一致点)を追加しキャリブレーションの精度を高める、スケールの不整合を排除するための厳密なチェックを行うなどしました。さらに、物理的な測定値とデジタルモデルから得られた測定値を比較することで、PIX4Dcatchの性能を検証するための高精度な基準体積を確立しました。

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私たちは、空のプールの物理的な測定結果をデジタルモデルから得られた測定結果と比較しました。この比較により、PIX4Dcatchの性能を検証するための基準体積(グラウンドトゥルース)が非常に正確な参照値を提供することを確認しました。

実験結果

各対象物について、PIX4Dcatchで算出された体積の推定値と基準体積(グラウンドトゥルース)を比較し、相対誤差を測定しました。その結果、全測定の平均絶対相対誤差は2.2%に抑えられていることが分かりました。さらに、90%の測定において相対誤差は5%未満であり、このアプリが一貫して信頼性の高い結果を提供できることが示されました。 加えて、いずれの測定においても相対誤差が10%を超えることはなく、さまざまな状況においても高精度な結果を出せることが確認されました。

結果として、PIX4Dcatchの精度は以下の通りとなりました:

  • 測定された__体積の平均絶対誤差は2.2%__
  • 測定の90%で誤差が5%以下
  • どの測定でも10%を超える誤差はなし

これらの結果は、PIX4Dcatchがさまざまな場面で正確かつ一貫した測定結果を提供できることを示しています。

PIX4Dcatchで高精度な体積計測を行うためのヒント

PIX4Dcatchで体積計算機能使用時、より正確な測定結果を得るには以下を実践してください:

  1. 必ずRTKを使用する:RTK信号が弱い場合や利用できない場合はオートタグで補完
  2. 小さい物体(1立方メートル未満)を測定する際はオートタグを使用
  3. 対象物を十分にカバーする:ポイントクラウドやメッシュが全体を正確に捉え、境界線が計算対象を完全に含むことを確認

このアプリは、予測された体積ごとに不確実性の推定値を提供し、精度に影響が及ぶ可能性がある場合にユーザーに警告します。

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こちらのPIX4DcatchのUI画面は、体積計測機能の使用イメージです。左の画像では、溝状の物体(トレンチのような物体)が選択され、中央の画像では体積計算が実施され、右の画像では充填体積の計算結果が表示され、PDF形式でエクスポートするオプションも利用可能です。

PIX4Dcatchの体積計測機能を使用することで、スマホのみで現場にいながら即座に高精度な体積計算を行えるため、業務時間短縮や現場作業の効率向上につながります。建設業務においては、本機能を活用することで、ストックパイル管理、掘削作業の追跡、材料の見積もりなど、さまざまな作業を効率化し、高品質な測定を困難な条件下でも実現可能です。PIX4Dcatchは、現場での生産性と精度向上に貢献します。



モバイル3D計測「PIX4Dcatch」とは?

iPhoneなどのモバイル端末を3Dスキャナーに変えるアプリPIX4Dcatch。現場を歩くだけで必要なデータを簡単に収集でき、デスクトップ用ソフトウェアの「PIX4Dmatic」やクラウド上ソフトウェアの「PIX4Dcloud」を利用して高精度な点群データ、メッシュ、DSM、オルソモザイクの作成が可能。また、スマホアプリ画面上でAR機能で過去に取得した点群やCAD(BIM)等の設計データを現場に投影することや、現場にいながらスマホ上で体積計算が可能。 対応するRTKデバイスを接続することによって、手軽にRTKレベルの絶対精度を持った計測ができます。



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