ドローンと地上写真測量が切り拓く、”地形を生かした”新たな建築デザイン手法
福岡県に拠点を置く建設設計事務所の株式会社リズムデザインは、株式会社功研ジオシステムサービスにPIX4Dcatch RTKとドローンを利用した現場のモデリングを依頼しました。
株式会社リズムデザインの代表取締役・一級建築士の井手様と株式会社功研ジオシステムサービスの代表取締役 山下様にお話を伺いました。
本事例のポイント
- ドローンと地上で取得した写真測量データをマージし、精巧なモデルを作成。
- 地上写真測量により、空撮では映らない場所も簡単にデータを取得。
- 生成された2D/3Dモデルを基に、土地の特徴を生かした建築デザインを作成。
抱えていた課題:
(リズムデザイン:井手様)建設デザインの現場である、福岡県の糸島市にある山地の地形を詳細に知ることが私たちの課題でした。
斜面がある山地のため、基礎構造物の構築が難しく、機材の運搬にも高額な費用がかかります。そのため、土地の形状をよく把握することで、基礎構造物を最小化した設計を行い施工を円滑に進めることを目指しました。
また、弊社では、「あるものを生かし、ないものを作る」をモットーに建設物が周囲の環境に溶け込んだ印象を与えることを重視しています。その場にある木々や土地の形状を生かし、周辺環境へのインパクトを最小限にしたデザインを行うためにも、正確な現状把握が不可欠でした。
過去にも、功研ジオシステムサービス社にPIX4Dcatch RTKを使用して現場の3次元モデルを作成してもらったことがあり、その高い再現度に感銘を受けました。そのため、今回もPIX4Dcatch RTKを使ったモデリングを依頼しました。
Pix4D製品の活用方法:
(功研ジオシステムサ ービス・山下様)井手様からの依頼を受け、まず土地全体をドローンで撮影した後、木々が茂っているエリアなどはPIX4Dcatch RTKで撮影しました。
PIX4Dcatch RTKは、上空からは見えない箇所のデータも容易に取得できるため、木々の密集地や伐採が行われていない場所のデータも補完することができます。RTKが取得できない箇所が一部存在しても、データの処理は問題なく行えることは知っていたため、木々の下などにも入り込みながら撮影を行いました。
検証点や標定点の位置合わせにはPIX4Dcatch RTKの機能であるシングルポイント計測で取得し、トータルステーション(TS)やGNSSローバーなどの測量機器は使用しませんでした。
ドローンで得たデータの処理には、長く使っていて慣れているPIX4Dmapperを使用しました。地上で収集したデータの処理にはPIX4Dmaticを選択しました。その後、PIX4Dmaticで空撮データと地上データを合成し、3D点群、オルソモザイク画像、等高線平面図を生成しました。
その後、それらを基に独自開発のソフトウェアで地表面のみを抽出した図面を作成し、PIX4Dmaticのアウトプットと共に納品しました。
活用の成果:
(リズムデザイン:井手様)山下さんから提供されたデータから地形の模型を制作し、建築デザインの検討に活用しました。
通常、設計段階では現場の草木は伐採前のため、敷地の全体像を把握することが難しいですが、高精度な地形データを入手できたことで、地形を熟知したうえで設計を行うことができました。伐採をしなくても良い木も明確になり、周辺環境への影響を最小限に抑えるという当初の目標を達成することができました。
Twitterで今回の地形データの利用について投稿をしたところ、同業者からかなりの反響がありました。建築設計業界にとってPIX4Dcatch RTKやPix4Dのソフトウェアはかなり需要があるのではないかと感じています。
PIX4Dcatch RTK導入の経緯:
(功研ジオシステムサービス・山下様)元々PIX4Dcatch RTKの導入を決めた理由は、